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学術研究

沖縄産ゲットウAlpinia speciosa精油吸入により誘起されるマウスの精神行動変化

(1東邦大・薬,2グリーンフラスコ研究所)
○村上志緒1,2, 川崎彩1,松浦真莉子1,佐々木理恵1,佐藤忠章1,林真一郎2,小池一男1


【目的】植物各部より主に水蒸気蒸留法で抽出される精油には,鎮静や抗不安などの向精神作用による効果を目的として,アロマテラピー(芳香療法)に用いられているものがいくつか知られている。これらの精油は現代社会で多く見られる生活習慣病やうつ,肥満など多くの慢性的な不調へと繋がる脳疲労(Brain Fatigue)の緩和への適応などが期待できる。私たちは,日本産植物から抽出される精油をアロマテラピーに応用することを目的に,それらの基本特性を検証する研究を進めている。今回は,沖縄産ゲットウ精油の向精神作用の発現機構を明らかにするために,揮発成分の吸入によるマウスの行動変化を行動薬理学的に解析し,ゲットウ精油の精神行動への影響について検討した。

【方法】一定環境下で1週間単独隔離して飼育したICR系6週令雄マウスを用いて実験を行った。マウスを回転遊具で20分運動させた後,沖縄産ゲットウ(月桃)から調製された精油50μLを染み込ませた濾紙を底部に設置した蓋付ガラス製コンテナ(L100×W225×H200mm)に入れ,90分間の行動を解析した。その後,不安関連行動評価法の一つである高架式十字迷路試験により,マウスの精神行動を評価した。

【結果】コンテナ内での行動解析により,ゲットウ精油吸入マウスではジャンプ行動の発現が著しく亢進することが認められた。また,高架式十字迷路試験において,ゲットウ精油吸入マウスのオープンアームへの進入回数や総移動距離が有意に亢進することが確認された。なお,ゲットウ精油の主要成分に関してはGC-MSを用いて解析を行った。

【考察】高架式十字迷路試験の結果から,ゲットウ精油吸入により,マウスの不安水準が通常より低下していること,自発的運動量が亢進していることが示唆された。通常はあまりみられないジャンプ行動発現の亢進については,神経ペプチドPACAP(pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide)や,セロトニン,ドパミンといった神経伝達物質・神経調節因子の脳内動態との関連性が示唆されている。現在我々は,ゲットウ以外の精油を含め,精油吸入による精神行動変化の行動薬理学的解析と共に,これらの精神行動変化と脳内の物質動態の関連性を解析することを進めており,精油の吸入が脳機能に及ぼす作用の機構解明につなげたいと考えている。

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