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学術研究
日本産植物精油の成分分析とアロマテラピーへの応用 ○村上 志緒1,2,小池 一男1,林 真一郎2,二階堂 保1
【目的】植物各部より主に水蒸気蒸留法で抽出される精油は,向精神作用,血行促進作用,抗菌作用などの多様な効果を目的に,アロマテラピー(芳香療法)の材料として用いられている。近年,欧米をはじめ日本でもアロマテラピーなど代替療法を医療現場に取り入れた統合医療としての取り組みが始まっている。私たちは,4種の日本産植物から抽出される精油をアロマテラピーに応用することを目的に,それらの基本特性を明確にする研究を進めており,第50回年会では微生物発育阻止作用について報告した。今回はそれらの精油をGC-MSを用いて成分分析した結果と,その一つである沖縄産ゲットウ精油を用いてアロマテラピーマッサージを施し,不安状態及び血管機能に及ぼす影響について検討した。
【方法】北海道産モミAbies sachalinensis(マツ科)の葉部,青森産ヒバThujopsis dolabrata(ヒノキ科)の木部,山口産ユズCitrus junos(ミカン科)の果皮,沖縄産ゲットウAlpinia speciosa(ショウガ科)の葉部の4種の精油を対象に,GC-MSによる成分分析を行った。そして,その一つであるゲットウ精油を材料としたマッサージオイルを用いて12名を対象に約30分のアロマテラピーマッサージを施し,不安状態及び心血管機能について,各々STAI(State-Trait Anxiety Inventory:状態-特性不安検査),及び四肢(上腕・足首大動脈)の脈波伝播速度を基に算出される血管機能検査CAVI(心臓足首血管指数)を用いて検討した。 【結果】4種の精油についてGC-MSによる成分分析を行い,各々主成分としてα−ピネン・カンフェン・d-リモネン(モミ),ヒノキチオール・ツヨプセン(ヒバ),d-リモネン・α−ピネン(ユズ),α−ピネン・1,8-シネオール・テルピネン-4-オール(ゲットウ)等を検出した。ゲットウ精油を用いたアロマテラピーマッサージの施術では,「今の不安状態」を示す状態STAIスコアが施術前36.6±7.2から施術後25.8±4.0と顕著に低下し(p<0.001),CAVIは施術前6.90±0.36から施術後6.65±0.32とやや低下した(p<0.01)。これらの結果より,ゲットウ精油によるアロマテラピー施術は状態不安の軽減に効果的であり,血管の硬さを反映する四肢の脈波伝播速度を向上させ,血管機能の改善にも有用であることが示唆された。
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