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 【海外の最新研究を紹介】 メディカルハーブリサーチ No.9
「ソウパルメットとネトル抽出混合物を用いた植物療法は、
良性前立腺肥大に対してフィナステライドによる薬物治療と同等な効果がある

  発行:2001年1月30日 グリーンフラスコ株式会社
Text by Shio Murakami (グリーンフラスコ研究所)

 

 良性前立腺肥大(BPH:Benign Prostatic Hyperplasia)の対症療法として、ソウパルメットの実とネトルの根からの抽出物を混合したPRO160/120を用いた植物療法と、人工の5α‐リダクターゼ阻害剤であるフィナステライドを用いた薬物治療について、各々の効果を比較検討した。543名の初期の良性前立腺肥大患者を対象に、二重盲検法による試験を実施し解析を行った。患者は2グループに分かれて、2週間のプラシーボ服用に続いて、PRO160/120もしくはフィナステライドを各々24週間服用した。患者の前立腺体積は超音波画像診断装置によって測定され、24週間の服用の後に尿流量の測定、 及び国際前立腺症状スコア(IPSS: International Prostate Symptom Score)による症状チェックを用いて効果が検討された。服用により、PRO160/120では1.9mL/s、フィナステライドでは2.4mL/s最大尿流量が増大する効果がみられ、更にIPSSスコアにおいても両療法で同様な症状改善がみられた。これらの効果には療法による統計的差異は認められなかった。更に、前立腺体積によってグループ分けをして最大尿流量を比較したところ、PRO160/120でもフィナステライドでも増大し、体積による効果の統計的差異も認められなかった。安全性については、PRO160/120の方がフィナステライドよりも高く、初期の良性前立腺肥大の対症療法としてこの植物療法は適切であると考えられる。

【解説】
 男性の臓器である前立腺は、膀胱から後部尿道を囲んでおり、成人では通常胡桃くらいの大きさです。加齢により前立腺が肥大して尿道を圧迫して排尿障害が現れるのが前立腺肥大です。前立腺が肥大する原因として考えられているものに、加齢による男性ホルモンのバランスの崩れがあります。加齢と共にテストステロンの分泌が減少して生殖能力は衰えていきますが、前立腺は生殖能力を維持するためにテストステロンを積極的に摂りこみます。前立腺に入ったテストステロンは還元酵素5α−リダクターゼによる還元作用を受けてジヒドロテストステロン(DHT)に変わります。このDHTが多く生成されると前立腺細胞が過剰に生成されて前立腺肥大が起こるのです。上記のフィナステロイドは、5α−リダクターゼの作用を阻害する前立腺肥大治療薬のひとつです。
 前立腺肥大を改善するハーブとしては、ソウパルメット(Serenoa repens ヤシ科)がよく知られています。ソウパルメット実の脂溶性抽出物は、フィナステライドと同様に5α−リダクターゼの作用を抑制することでDHTの生成を阻害して前立腺肥大を予防または改善することが示唆されています。ドイツでは、前立腺肥大のためのもう一つのハーブとしてネトル(Urtica dioicaイラクサ科)が用いられています。根からの抽出物成分が、前立腺の生体膜のNa+‐ATPアーゼ、K+‐ATPアーゼの活性を阻害し、前立腺細胞の代謝や成長を抑制することにより、症状を改善することが示唆されています。更にはネトル根の成分リグナンが、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)の前立腺生体膜上のレセプターへの結合を阻害してテストステロンの代謝に影響を与えてDHT生成を抑制することが示唆されています。本研究では、これら2つのハーブを合わせて用いた植物療法の効果が報告されています。

【参考】詳細は以下の論文をご参考ください。
Sokeland J. (2000) Combined sabal and urtica extract compared with finasteride in men with benign prostatic hyperplasia: analysis of prostate volume and therapeutic outcome, BJU International 86:439-442

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