ハーブサプリメントなどの服用は年々増加傾向にあり、西洋医学による治療と共に植物療法を用いるケースが増えてきている。この状況においては、植物療法として用いたハーブが処方された医薬品と良かれ悪しかれ相互に作用することが考えられ、拮抗作用を示すことが避けられない場合もある。
通常、体内を循環する血液は、何マイルにも及ぶ血管を通って酸素と栄養素を供給するために適応可能な流動性を要求されている。しかし、この血液循環システムが外傷によって分断されると、血液の損失を最小限に抑えるために血液凝固因子が作用する系が負傷した部分に局所的に働く。多くのハーブは有効成分として抗血液凝固作用をもつクマリンを含んでいるため血液凝固系への関与が示唆され、医薬品のワルファリン、ヘパリン、アスピリンといった抗血液凝固剤と同様の作用を示すことが考えられる。
植物療法での抗血液凝固剤として作用する利点の反面、外科的手術など多量な出血による危険が考えられる場面ではその作用や用い方については留意する必要がある。Norredらは、手術後に多量出血を経験した乳房切除手術の患者に関して、手術前に抗血液凝固作用があるとされるいくつかのサプリメントを服用していたと報告している。例えばイチョウ葉抽出物(Gingko biloba)については、単独または他の医薬品と併用により出血症状を伴う硬膜下血腫などの障害を誘引する場合があるとして報告されている。確かにイチョウ葉の成分であるギンゴライド は血小板凝集因子に拮抗する作用をもつとされているが、一方では、300名以上の初期のアルツハイマー型痴呆症患者の症状改善のために52週続けて服用した症例が報告されており、その中では1例のみしかもプラシーボ群の患者での硬膜下血腫が報告されたのみであった。
このようにハーブと医薬品の相互作用を示す症例報告は服用の機会の増加と共に年々増加しており重要である。しかし、まだ不確定なところが多いため、植物療法についての批判としてではなく、更なる科学的な検証の必要性を示唆するものとして受けとめるべきである。これらの相互作用の基本となるハーブの血液凝固パラメータや薬物代謝酵素に関する薬力学的作用について、更には血液凝固機能の個体差が抗血液凝固作用をもつハーブへの感受性の差に関わるかなどの問題について科学的に研究することは重要である。また、安全性の確保のため手術前2週間はハーブの服用をやめるべきだと米国麻酔医学会(American Society of Anesthesiologists) は推奨しており、手術前のハーブ服用状況について医師が患者と情報交換することも研究と同じく非常に重要である。医師が患者と相互的な信頼関係を築くことが、健康を維持するためのいくつかの方法を安全に効果的に選択することにつながるだろう。
【参考】詳細は以下の論文をご参考ください。
Heather S. et al, (2001) The Convergence of Herb Pharmacodynamics and Herb - Drug Interactions on Hemostasis. Alternative Therapies. 7(6) 46-47 |