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 【海外の最新研究を紹介】 メディカルハーブリサーチ No.20
「セントジョンズワートにはフリーラジカル生成を阻害する抗酸化作用がある」

  発行:2002年6月1日 グリーンフラスコ株式会社
Text by Shio Murakami (グリーンフラスコ研究所)

 

 セントジョンズワートは、火傷や打撲傷、腫れ物、不安やうつの症状に対する植物療法として古くから用いられている。本研究では、セルフリー系及びヒト胎盤静脈組織培養系においてセントジョンズワートの抗酸化作用について検証を試みた。キサンチンーキサンチンオキシダーゼによって酵素的にスーパーオキシドの生成を誘発し、その生成の指標としてルシゲニンの化学発光を用いている。ヒペリシンやハイパーフォリンの含有量によって標準化された市販のセントジョンズワートをアルカリ性溶液に溶解して1対1〜20の割合で作成したセントジョンズワート希釈液の投与によるルシゲニン発光の消失を観察して、スーパーオキシド除去能、つまり抗酸化作用について検討している。1対1の最高濃度のセントジョンズワート希釈液では酸化促進作用がみられたが、より低濃度では抗酸化作用がみられた。1対1未満の濃度のセントジョンズワート希釈液では、濃度に逆依存してスーパーオキシド除去作用がみられ、最大の除去能は最大に希釈した1対20の希釈液で観察された。これらの結果により、セントジョンズワートにはフリーラジカル生成を阻害する抗酸化作用があることが示唆された。
【解説】
 分子を構成する単位である原子は原子核とその周りの電子軌道上に存在する電子で成り立っています。電子は通常2つのペアで安定しますが、スーパーオキシドなどフリーラジカルと総称される物質には、ペアになる電子を持たない電子(不対電子)が存在します。フリーラジカルはペアになる電子を見つけて安定しようとして酸化反応を起こして近傍の分子から存在する電子を奪い取ります。この反応によりそれまでペアの電子で安定していた分子が不安定になるため、連鎖的に酸化反応が起こります。フリーラジカルは生体活動の過程で発生し、抗菌・殺菌作用などで役立つ一方、反応性が早いという特質から、細胞や遺伝子を傷つけ、老化、がん、生活習慣病の発症に関与しているとされています。
 セントジョンズワート(Hypericum perforatum オトギリソウ科 西洋オトギリソウ)は、抗ウィルス作用や抗ガン作用に加えて、抗不安・抗うつ作用があるとして用いられています。
本研究では、低濃度のセントジョンズワートで抗酸化作用が確認され、フリーラジカルを除去することによって細胞の損傷、老化などを防止する効果があることが示唆されました。一方、セントジョンズワートの成分ヒペリシンは、光感受性物質であり、そのエネルギー状態の遷移によって生成されたフリーラジカルがガン細胞にダメージを与えて増殖を阻害する作用が示唆されており、本研究で最高濃度にて確認された酸化促進作用はフリーラジカルの生成によるものである可能性が考えられます。濃度により多様に作用を示すこと、また作用によって、より低濃度で大きな効果を示すことも興味深い結果といえるでしょう。
【参考】詳細は以下の論文をご参考ください。
Emily J. Hunt, Cynthia E. Lester, Elizabeth A. Lester and Randall L. Tackett, (2001) Effect of St. John's wort on free radical production. Life Sci. 69(2): 181-190

・成分ヒペリシンによって標準化された様々な濃度のセントジョーンズワートの培養細胞での抗酸化作用
 ※ヒペリシンによって標準化されたセントジョンズワートを用いています。
  X軸右方向で希釈率大、Y軸下方向で抗酸化作用大を示します。

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